泉北ニュータウンがまちびらきをするにあたって、住民を職場や学校へ運ぶ大動脈として敷設された泉北高速鉄道。和泉中央駅にある、泉北高速鉄道株式会社で経営企画室・次長の宮田光爾さんと経営企画室・課長の小林誠さんにお話を伺いました。
和泉中央駅にある泉北高速鉄道株式会社
宮田光爾さん(写真左)
泉北高速鉄道株式会社 経営企画室 次長
泉北ニュータウンまちびらき50周年事業に参加し、まちを良くしようという熱い想いのプレーヤーに出会う。(50周年事業では市民委員・西上孔雄さんの企画「まちの魅力を未来に受け継ぐ“泉北こどもかるた”」プロジェクトにパートナーとして参加)
小林誠さん(写真右)
泉北高速鉄道株式会社 経営企画室 課長(経営企画担当)
堺市で生まれ育ち、入社して24年。広報誌制作に関わっているため泉北ニュータウンの素敵な場所、紹介したい場所をたくさん知っている。(50周年事業では市民委員・大前藍子さんの企画「大学生発!意外とステキ★泉北デートスポット」プロジェクトにパートナーとして参加)
鉄道をきっかけに泉北に集うイベントや企画を次々と
泉北高速鉄道は、泉北“高速”鉄道の名にふさわしく、中百舌鳥(なかもず)駅から和泉中央駅までの全長14.3kmをたった16分、最高時速100kmで走り抜けます。全線を通じて継ぎ目が一ヶ所しかないほど長い、ロングレールと呼ばれる線路を使用しているため、揺れが少なく、静かで乗り心地が良いのも泉北高速鉄道の特徴。
開業当初から全駅、自動改札であったり、線路の分岐と信号をダイヤに沿ってコンピューター制御をする装置を導入したりと、今となっては一般的になった技術もいち早く取り入れていたそうです。
また、ユニークな企画も多く、ウォーキングイベントや鉄道イベント、ラッピング電車の企画など泉北に人が集い、まちを楽しくする企画をたくさん打ち出しています。
泉北沿線てくてくウォーク
たとえば「泉北ぐるりんウォーキング」では全16コースのハイキングコースを作成してウェブサイト等で公開しています。泉北自然歩きコースが8つ。泉北街歩きコースが8つあり、泉北に関心を持ったハイカーをサポートしています。
さらに、(社)日本ウォーキング協会公認のウォーキング指導員といっしょに歩くハイキングイベント、「泉北沿線てくてくウォーク」も実施。2017年1回目の企画「あまの街道をたずねる=女人高野”天野山金剛寺”への道」では、早春の陽気の中、221名の参加者の方が「泉ケ丘駅」から南海高野線「千代田駅」までの約12kmを歩きました。
毎年開催されている「せんぼくトレインフェスタ」には地域の人だけでなく子どもから大人まで全国の鉄道ファンも大勢参加し、行列ができるほどのにぎわいです。普段は見ることができない光明池車庫の見学や、電車との綱引き勝負など特別な企画を楽しむことができます。
せんぼくトレインフェスタ
2017年の10月からは大阪府立大型児童館「ビッグバン」のキャラクター等をデザインしたラッピング電車「フロンティア号」を運行しています。車体は宇宙と時空飛行船「フロンティア号」をイメージしたデザインとし、「フロンティア号」クルーの「ベアル」「メロウ」と大型児童館「ビッグバン」キャラクターの「ワニタン」が乗客の皆様をお出迎えします。
フロンティア号
そのほか公式キャラクター「せんぼくん」のLINEスタンプの販売も。現在は、より便利な駅とするため、泉ケ丘駅で安全性の向上や店舗エリアの拡大といったリニューアル工事を進めています。
「泉北スタイルを泉北ライナーで」510円で体験できる新しい生活価値を
「自宅にお菓子工房をつくり、職場と住居をリノベーションで一緒にする」「平日は大阪市内まで働きに行って、週末はニュータウン近郊の畑を借りスローライフを送る」など、泉北ならではの暮らしを表現した「泉北スタイル」という言葉がじわじわと広がりつつあり、泉北高速鉄道も、その「泉北スタイル」を掲げています。泉北高速鉄道にとっての「泉北スタイル」とはどういったものなのでしょうか。
「鉄道会社ですから、“駅の周辺に住んで欲しい” “沿線に住んで欲しい”。そして“電車に乗って欲しい”という目標が大前提としてあります。そこに新しい価値観を提案していきたいですね」(宮田さん)
「着席特急というのもその一つです。料金はいただきますけれども、座って移動する時間に、“本が読めますよ” “仕事ができますよ” “お茶も飲めますよ”という+αが生まれます。指定席なので、お子様連れでも余裕を持って電車移動を楽しめます。+αのお出かけも新しい選択肢のひとつです。我々はそういう選択肢を増やし、新しい価値観の生活につなげていきます。“泉北沿線に住むとちょっと変わった楽しいことができますよ”それが泉北スタイルのイメージです」(宮田さん)
たった510円で+αの暮らしが買えるという価値観。これは実際に泉北ライナーに乗って体感してほしいですね。
泉北ライナー
バリアフリー対応もますます充実。活躍するステーション・アテンダント
泉北高速鉄道を利用するにあたって、目を引くのは可愛らしい制服に身を包んだステーション・アテンダントさん。「お気をつけて!」と笑顔で送り出され、降車の時に「おかえりなさい」と迎えてもらえる駅などそう多くはないはずです。
いつも親切なステーション・アテンダントのみなさん。車椅子で乗車するお客様がいる場合は行き先を乗務員さんに伝えて、間違いなく降車できるようにしてくださいます。
ステーション・アテンダントのみなさん
「ステーション・アテンダントは、お客様のご案内だけでなく、車いすのお客様の補助など、バリアフリーに一役かっています。沿線には光明池駅にファインプラザ大阪(大阪府立障がい者交流促進センター)や泉ケ丘駅にビッグ・アイ(国際障害者交流センター)などの施設がありますので、住んでいる方だけでなく、遠方から来られる方にも気持ち良くご乗車いただきたいと思っています」(小林さん)
「障害を持った方がどのような手助けを必要としているのかなど、研修に行って勉強しています。また、誰しも突然倒れたりすることがあるので、救急救命について研修するなど不測の事態に備えています」(宮田さん)
実はあまり知られていませんが泉北高速鉄道は、深井、泉ケ丘、栂・美木多、光明池、和泉中央の各駅で「大阪府福祉のまちづくり条例適合証」を与えられていて、バリアフリーがとても充実している鉄道なのです。
大阪府福祉のまちづくり条例適合証
住みやすいのは当たり前「泉北っていいよね」と言われる魅力を持ったまちをつくる
ほかの地域に住む人から「泉北っていいよね」と言われるために必要なことってどんなことでしょうか。泉北高速鉄道が思うハード面とソフト面の魅力についても質問してみました。
「交通のハード面でいうと、泉北ニュータウンはきちんと計画されてできているので、歩車分離されて整備された歩道は自然豊かで歩きやすく、多少回り道をすることはあっても、ベビーカーや車椅子でも通れるようになっていますし、エレベーターの普及も進んでいます。それは暮らしやすさにつながっていると思うんです。お年寄りが楽に使えるということは、若い人にとっても将来の安心につながります。元気な人にとっても、楽に越したことはないですから。じつはみんなが暮らしやすいという部分ではすでに実現できている部分も多いまちなんです」(宮田さん)
「だからそこに、コミュニケーションマガジン『ブルーライナー』で美味しいパンのお店やのんびりできるカフェ、また泉北レモンなどニュータウンのトピックを紹介したり、泉北ぐるりんウォーキングなど自然を楽しめるハイキングの情報を提供するなどの、ソフト面をさらに充実させていけると、よりよいまちになると思います。さきほどお話しした「+α」の価値をそこに見出していただけたらなと」(小林さん)
泉ケ丘~栂・美木多の間にある、若松台と城山台を結ぶ緑道「松城橋」。撮影スポットとして人気の場所です。
最後に2014年に南海グループに入り、純民間企業となった意気込みを語ってくださいました。
「まちづくりに関わるのはこれからです。緑に囲まれて、のどかで暮らしやすくて“いいよね、泉北沿線”と言われるような、あこがれられるまちをつくっていきたいですね」(宮田さん)
これからの泉北に新たな生活価値をもたらしてくれる泉北高速鉄道株式会社。安全・快適は電車だけでなく、私たちの生活にまで浸透していきそうな予感がします。あなたにとっての「+α」を感じるため、ぜひ一度、泉北に遊びに来てください。
お知らせ
初詣フリーチケット2018を発売
泉北高速鉄道と南海電気鉄道では、「初詣フリーチケット2018」を今年も発売いたします。
泉北・南海の全線がお好きな2日間乗り放題となる便利でお得なチケットです。
両社沿線の初詣やショッピングなどに、ぜひご利用ください。
詳細は泉北高速鉄道サイトにて→ http://www.semboku.jp/cat_news/6286/
◎取材後記
身体が不自由だからこそわかる泉北高速鉄道の見えない価値
車椅子ユーザーの私がいつもお世話になっている泉北高速鉄道。電車好きの私としては伺うお話はどれもこれも興味深いことばかりでした。泉北高速鉄道のバリアフリーには、ハード面、ソフト面ともに真心が感じられました。“車椅子でも楽しいお出かけ”。これも泉北高速鉄道流「泉北スタイル」の一つかも知れません。
◎市民ライター・プロフィール
下村信子
週に1度は必ず泉北高速鉄道に乗って光明池駅へ。ファインプラザ大阪に泳ぎに行くアクティブな車椅子ユーザーです。競泳大会などで近畿圏内の様々なプールに遠征しています。