reportレポート

農業発!
子供と街を笑顔にする
スマイキーファーム!

スマイキーファームとは?  

公園に草が生えているのをよく目にしませんか?一昔前までは、草が生えるすきを与えないぐらい子どもたちであふれかえっていたはずなのに。子どもたちは一体どこで遊んでいるのだろう?と、疑問に思ったことはないですか?  

今回、ご紹介するのは堺市南区の「スマイキーファーム」の活動です。 堺市内で農業に携わる人の輪を拡げる取り組みをしていた「みないき農業塾」の卒業生を中心に集まったことが、活動を始めるきっかけになりました。2014年のことでした。

いざ集まり、共同畑でともに楽しい時間を過ごしている中で、色々な職種、スキルや経験をもった人たちが集まっていることがわかりました。また、みんなの得意ごとを持ち寄れば何かができるのではないか?と考えるようになりました。そこで“子どもたちの笑顔が見たい。子どもたちともっと一緒に楽しみたい”という仲間の共通点を活かし、農業を基軸にした輪を拡げる活動をめざす、「スマイキーファーム」(グループ名)が動き出しました。

植えつけや栽培に関わることから、収穫体験、畑で取れた作物での調理イベントや、食育と健康を考える取り組みなど、そこにはたくさんの企画があります。畑がある里山をフィールドにして、木育や緊急時の防災、野外活動など、農業から派生した様々なことを、子どもたちに体験してもらいたいという思いから生まれたものです。  

また、「スマイキーファーム」に代表者はいません。メンバーが各自に企画を立て、イベントごとにリーダーが変わるというスタイルを取っているためです。代表者を決めると、自分がやりたくないことでも仕事を割り振られ、だんだん義務化してしまい、自分たちが楽しむというこの活動の大前提から離れてしまうと考えられたからです。

“楽しいことはつらくない。つらくないから続く。続けることが大切”と、「スマイキーファーム」のみなさんは考えています。

スマイキー流の次世代教育

まず、取り掛かった活動は、毎週水曜日の朝市でした。茶山台にある老人ホーム「グランドオーク百寿」の前で、仲間や協力者が作った農作物を売ることから始めました(現在は別業者に移行)。朝市を進めるなかで、グランドオーク百寿のスタッフである大辻さんが、茶山台近隣商店会の会長も担っていることを知りました。

「かねてから、子供の笑顔を見続けるには一過性のイベントだけでなく、活動を次の世代につないでくれる人材を育てる必要があると考えていました。そこで、子どもの健全育成の一つとして、「小学生夏休みインターンシップ」を企画し、茶山台小学校に提案しました」(メンバーの男性)

その呼びかけに、地元自治会を含め関係先の全てが快く賛同し、茶山台小学校や上神谷小学校から参加者をつのり、また茶山台近隣商店会の受けいれ協力も得ることができました。こうして、小規模ながらスタートしたインターシップ企画は、初年度19名だった参加者が、2年目には50名に増えました。また、受け入れ先も、近隣のピザ屋、理髪店、薬局、老人ホームに加えて、保育園や幼稚園、銀行、大型児童館ビッグバンなどにも広がりました。

インターンシップの内容も少しずつ充実させています。今年は六年生が受け入れ先を取材して記事を書き、自身の学校の壁新聞を通して活動を紹介することにもチャレンジしました。制作にあたっては、スマイキーファームの中でライター経験を持っている山田さんが、ライター講習を開き、そのノウハウを子どもたちに伝授しました。

インターンシップの目的は、次世代を担う人材育成にあります。ただ参加するだけでなく、自分たちで活動を広め、参加者や協力者を増やすことも、次へつないでいく活動の一つだと考えて取り入れた企画でした。

活動に対するメンバーと周辺の変化  

農業イベントや、小学生夏休みインターンシップの活動が定着しつつある中で、自ら主催することに消極的だった「スマイキーファーム」の仲間からも、徐々に自分の得意分野を使った企画を主催しようという動きが出始めました。

管理栄養士の資格を持った人は、子供料理講習会の企画や、子育てサロンへの参加を始めました。農業を得意とする人は、農業講習会、本が好きな人は絵本の読み聞かせ会など、グループメンバーの意識も、積極的に変化し始めました。 また、今までは、インターンシップの受け入れを依頼しても、NPOや行政の後ろ盾のない「スマイキーファーム」の活動を信用してもらうことに苦戦していましたが、この3年間の活動実績が信用となり、2017年度は、紀陽銀行泉ヶ丘支店から新たに協力を得ることができるようになりました。

また、ビッグアイで行われたイベント、「共に生きる障害者展」での障害者スポーツ体験会へのボランティア参加依頼がくるなど、受け入れ先の方から相談が来るようになり、“信用は後からやってくる!焦らず諦めず、地道に続けることが大切だ”と言うことがわかってきました。今は、今年の実績が、また来年の活動の場を広げてくれることになるのだと期待しています。

これからの「スマイキーファーム」

「なんでこんなことをしているの?」と人からよく聞かれるそうです。その答えは 「楽しいから」 といつも答えるそうです。人から見たら、お金も時間もかかること、「他人のお世話なんて大変でしょう?」と不思議に思われるかもしれません。でも、全て「子供の笑顔を見る」という「好きなこと」のためなので、楽しんでやっていることなのです。

ですから、制約や規制が増えて、楽しく自分たちの思うようなことができなくならないようにと、組織として色々な団体に所属するのではなく、単独のボランティア集団という形で活動を続けています。

活動開始からまだ3年と少し。運営を継続していく過程で、次々に問題が出てきますが、そのつど改善と対処をし、活動しやすいベストな形を作り、誰もが協力しやすい形になることをめざしています。 「スマイキーファーム」の活動に子どもが参加したことをきっかけに、保護者が興味を持って参加してくれるようにもなってきました。また、今まで関わらなかった地元住民や企業、商店や農家など、異業種・異世代間の交流も少しずつ生まれ始めています。今後も、沢山の地元商店や企業が参加協力に名乗りをあげてくれるよう、実績を地道に積み重ねていこうとしています。

そうしている間に、「スマイキーファーム」を経験した子どもたちが成長し、自分たちの子供の世代へと受け継いでいってくれることを理想としています。自分たちが楽しんで活動していることの先に、未来につないでくれる人材の成長と活性化した街や、公園に溢れる沢山の子供の笑顔があればいいな、という思いで活動されています。

今後も、防災イベントや色々な企画開催を予定しています。また、農地の活用法として要望の多かったピザ窯を設置し、夏には取れたて野菜のBBQやキャンプができるように環境を整えたり、ますます楽しい「スマイキーファーム」にしていこうと計画しています。みなさんも、「スマイキーファーム」の活動に参加してみませんか?

 

お知らせ

[スマイキーファームの連絡先]
赤松宛 090-1596-6653 hiroba5202@gmail.com

◎市民ライター・プロフィール
廣出純子
泉北在住、2児の母。子育て目線で楽しい泉北の魅力を探しながら、「泉北レモンの街ストーリー」の一員としても活動中。