reportレポート

いずみがおか広場を
「使って楽しむ」サードプレイスに!
人生の豊かさをこのまちで
感じてほしい と願う南海電気鉄道

南海電気鉄道株式会社(以下、南海電鉄)は、堺市を含む南大阪の住民には欠かせない鉄道会社です。きっとほとんどの方が、一度は利用したことがあるはず。ショッピングセンター、駅ナカ店舗の開発も手掛けており、沿線地域のまちづくりにも力を入れています。平成26年に泉北高速鉄道のグループ会社化や、泉ケ丘駅前の商業施設を取得し、施設リニューアル、新規店誘致、耐震工事等に取り組んできました。今後も泉ヶ丘地域をはじめ泉北ニュータウンでのまちづくりに期待できます。

泉北ニュータウン地域における取り組みは、平成28年4月にリニューアルオープンした泉ヶ丘ひろば専門店街といずみがおか広場の開発から始まりました。ちなみに、「いずみがおか広場」は駅前の広場の部分を指していて、それに専門店街を含めた呼称が「泉ヶ丘ひろば専門店街」です。

南海電鉄泉北事業部長の水野さんは、「まちを活性化し、ここに住みたいと思ってもらえる地域にするために、『ハード面を整え』それを活かす『ソフト面の充実』を図ること、つまり、そこに住む方々にとって居心地のいい駅前にしていくことが大事です。」とおっしゃっていました。

南海電鉄プロジェクト推進室泉北事業部のみなさん(左から主任 弘田桃子さん、部長 水野俊介さん、課長 与野薫さん)

リニューアルで、居心地のいいサードプレイスに

いずみがおか広場の担当である与野さんには将来の泉ヶ丘地区を見据えた想いがありました。広場が住民の方々のサードプレイス(3rd place)となるように居心地のいい空間にすることを目指しました。ファーストプレイスが自宅、セカンドプレイスが学校や職場であり、そしてサードプレイスは、自宅や職場とは隔離された居心地のいい第3の居場所と言われています。いずみがおか広場は、どのように生まれたのかを紹介します。

誰もが気軽に楽しみ、憩える広場

リニューアルするにあたり、大切にしたコンセプトは「誰もが気軽に楽しみ、憩える広場」だそうです。広場を歩きやすくするために地面をフラットに改修することはもちろん、中央の噴水は丸い芝生『築山』に生まれ変わり、緑やベンチが多くつくられました。今回取材を行ったのは平日の午後だったのですが、まさしくその言葉通りに多くの住民が集い、くつろいでいました。

いずみがおか広場と「築山」でくつろぐ人々

夜になれば花壇のライトアップがおしゃれに施され、夜になっても真っ暗になることはありません。利用者にとって安心できる灯りですね。また、冬には木々にイルミネーションも施され広場を美しく彩ります。そして休日にはマルシェやバルなど、人々が楽しめるイベントが定期的に開催されています。新しくつくられたロゴマークは、丸い「築山」のある広場から芽吹いていく、という想いが込められており、広場はその想い通りの姿になっているのではないでしょうか。

冬のイルミネーション

リニューアル前と比較するとまったく新しい空間になりました

居心地の良い広場のシンボル「築山」

噴水の跡地に造った「築山」は、もり上がった芝生が特徴。そこに座ったり寝たり、とても心地のいい場所です。ちなみに、人は何か高さのあるものに惹きつけられる習性があるそうです。小さい子は特に、ジャングルジム等の高い場所に登るのが好きですよね。ただ高すぎてしまうと、勾配が急になり子どもが登ったときの危険性が増します。ちょうど良い高さを探すため、開発の方はみんなで実際に寝そべって研究したそうです。そんな風に研究されて生まれたのかと思うと、なんだか寝そべってみたくなりませんか?

単なる子どもたちの遊び場ではない「ちびっこ広場」

ちびっこ広場も工夫を凝らした2つのエリアに分けてリニューアルされました。一つは堺市出身の作家を中心にラインナップした、絵本コーナー。お母さんが「読み聞かせ」をすることもできます。また、毎月1回、地域のボランティアさんが絵本の読み聞かせ会を行っています。もう一つは、子どもたちの想像力をのばしてもらうことのできる遊び場コーナー。単なる遊び道具を置くのではなく、想像力次第で独創的な作品を作り出せる「つながるーぷ」や積み木などの知育遊具を設置しているので幅広い世代(未就学児)のちびっこが楽しめるようになっています。

また、ちびっこ広場は周りがベンチで囲まれており、遊んでいる子どもたちを保護者が見守りやすくなっています。単なる子どもの遊び場という位置付けではなく、親同士のコミュニケーションも生まれやすい場になっている点がポイントです。

絵本コーナー

知育遊具コーナー


こちらはリニューアル前の様子

変わったのは人の流れ

従来の広場は駅やバス停への通路として利用する人の流れが大半でしたが、リニューアル後はそれが大きく変わったそうです。

「休日に車でショッピングに来た人はお目当ての店のみの利用で、駅前まで足を運ぶことはあまりなかったのですが、親子でゆっくり過ごせる広場ができ、さらにカフェやファミリーレストランが増えたことで人々の回遊が生まれました」

と、水野さんはおっしゃっていました。それは、泉ケ丘駅前の活性化にはとても重要な変化ですね。

広場が泉北の人々の、思い出の地になることをめざして

リニューアル後は家族連れや高齢者に加えて、中高生たちが友達同士で集まる光景も見られるようになりました。泉北事業部の弘田さんは、このいずみがおか広場のリニューアルに、将来にわたる存在意義を見出していました。

「新しくなったいずみがおか広場では、子どもたちに仲間と集うひとときを過ごしてもらいたいのです。そういう思い出や経験ができれば、大人になってもまちに住み続けたいと思い、たとえ進学等でまちを離れてしまった後にも、もう一度泉北ニュータウンに住むことを選んでくれるかもしれません」

大人になった子どもたちが広場で再会している姿がなんだか目に浮かぶようですね。

いずみがおか広場をもっと使ってほしい!「いずみがおか広場 つながる10Days

南海電鉄は、もっとより多くの人々に広場を使ってほしいと思っています。 そこで今年の11月に、10日間という期間を設け、「いずみがおか広場 つながる10Days」と称して広場を開放する企画を考えました。水野さんにこの企画についての想いを教えて頂きました。

「広場での出店や企画を経験済みの方にはもちろん、利用したことのない方にも、この企画をきっかけに、いずみがおか広場を表現の場として使ってほしいと思っています。例えば、モノ作りが好きな人が実際に販売したり、音楽好きの人であれば多くの人々に聴いてもらったりするチャンスです。様々なバリエーションの企画を募り、いずみがおか広場がいろんな表現の場となって、こんなこともできるんだな!という使い方を住民のみなさんに知って頂きたいのです。」

いずみがおか広場は「誰もが気軽に楽しみ、憩える広場」からさらに、「誰もが気軽に使え、表現し楽しめる広場」へと変化しつつあります。今、何かに打ち込んでいる皆さん、ぜひ広場で表現してみてください!

人生の豊かさを感じられる次世代ニュータウンに

泉北ニュータウンは新しくつくられたまちですので、何百年も前から続く文化や祭りはありません。見方を変えれば、これから新しい文化やお祭りが生まれる可能性があります。水野さんは今後の泉北ニュータウンの発展をこう想い描いていました。

「いずみがおか広場が住民の表現の場となって、新しい人のつながりから、新しいビジネスや文化が生まれる。そして、人と人、人と広場、人とまちが融合し、自分の人生の豊かさを感じることのできるまちにしたいと思っています」

今度の「いずみがおか広場つながる10Days」の企画の中で、未来の泉北ニュータウンの新しい文化が誕生するかもしれません。

お知らせ 

「いずみがおか広場つながる10Days」は、平成29 年11月17日(金)〜11月26日(日)に開催。広場では今後も様々なイベントや試みが続きます。ぜひみなさんも足を運んでみてください。

泉ヶ丘ひろば専門店街 → https://www.izumigaoka-nankai.com/

◎市民ライター・プロフィール
黒田真須美
フリーライター1年目。大阪府立大学経済学部卒業。銀行勤務を経て、現在は主婦業をしながら執筆中。実績は大学の卒業論文で優秀卒業論文賞を頂いたことくらいですが、今後、多くの人に“読んで面白かった”と言って頂けるようなライターになるべく頑張ります!お読み頂き誠にありがとうございました。